「超田舎」に移住して2回目の冬を迎えようとしています。
11月中旬となった今、朝晩は5度以下になることも珍しくありません。
こうなるとやっぱり「薪ストーブ」の暖かさが恋しくなります。
去年引っ越してきて初めての冬は移住から3ヵ月しか経っていないこともあり、薪ストーブに入れる薪は購入していました。
でも、灯油と比較するとその差は約5倍も高額です。
灯油なら1日当たり220円程度、薪は1,000円以上。
(それでも600kgを1万円で買った質悪めの薪ですけどね・・・)
ということで、今年こそは「薪代をタダに!」をモットーに(夫メインで)雪解け時期から薪集めに尽力していました。
おかげで今年は大量の薪をゲット!
一冬分以上の薪を集められ、安泰の冬を過ごせそうです。
どうやってタダ薪を集めるのか
タダ薪を集めるためには一つ、妥協しなくてはならない点があります。
それは「木の種類にはこだわらない」ということ。
薪ストーブ愛好家なら、コナラやクヌギ、ブナ、ミズナラなどを求めたいところ。
長く燃えてくれるし、薪をくべる回数も少ないので出る灰の量も少ないです。
とはいえ、タダ薪を求めるにはそんな素晴らしい木ばかりとはなりません。
この辺で最も入手しやすい木は「杉」。
杉は、着火性は優れているものの、すぐに燃え尽きると言われています。
一気に火力が上がりすぎるために、ストーブを傷めるとも・・・。
ただ、実際に燃やしてみると火力については入れる空気量で調節ができますし、太さ十数センチで長さ30cmほどのものなら1時間は燃えてくれます。
大切に大切に薪ストーブを使いたいと思う方にとっては、「杉?!はぁ?!」という感じかもしれませんが、私達にしてみれば今のところ一番重宝して燃やしているのが杉だったりします。
タダ薪の入手はコネクション作りがキモ
例えば、どこかの古いお家が解体工事をしている―。
そんな時はすかさず、解体業者さんに「廃材頂けませんか?」と声を掛けます。
お家のリフォームをして頂いた工務店さんにも「廃材頂けませんか?」と声を掛けます。
さらに郵便局員さんと仲良くなって、「どこかのお家で木を切ったりしてませんかね?」と聞く。
林業関係の方に「間伐材って頂けないでしょうか?」と伺う―。
このような活動(?)を地道に続けていると要らない廃材が出た時や間伐の際に声をかけてもらえるようになります。
後はそれをもらいにいくだけです。
1年間これを続けていると、最終的には使いきれないくらいの量の薪を得ることができました。
薪を通じてご近所の方とも仲良くなれるし、薪ストーブ仲間もできたり、普通に生活していたらなかなか接点が持てないお仕事の方とお知り合いになれたりと、薪をもらえる以外にもたくさん良いことがあります。
最初の一歩には勇気が必要かもしれません。
だけど、その分得られるものは大きいと感じています。
廃材についてる釘はどうするか
古いお家を解体した時に頂く廃材には釘がそのままついていたりします。
これを全部抜いてから薪にしようと思うとかなりの労力が必要になります。
そのため、我が家では「釘付きのまま」廃材を燃やします。
廃材を燃やす時に気を付けるのは合板でないこと、塗料が塗られていないもの、木の電柱は腐食剤がしみ込ませてあるので、使わないということぐらい。
それ以外であれば、比較的何でも燃やしています。
現状、それによるストーブへのダメージは感じていません。
廃材についた釘は、燃え尽きた後に特大磁石でくっつけて除去します。
これも毎回ではなく、灰が落ちる穴に釘が落ちて灰の受け皿を取り出しにくくなった時や、見た目に釘が多いなぁと感じた時にまとめて取り除きます。
軽トラはあった方がいい?無くてもいい?
我が家の場合ですが、薪ストーブを導入したのは引っ越しから2ヵ月半経った10月でした。
そして、軽トラを購入したのは11ヶ月後の9月です。
その間、薪を運ぶのにどうしていたかというと、ご近所さんに貸して頂いていました。
ガソリンを入れて返す、お礼にビールを渡すなど、当たり前と思っていた行為に対して「そんなことはしないでいい」と言ってくれる優しい方です。
ですが、さすがに回数が増えてくるとガソリンを入れないことも、お礼を渡せないことも申し訳なく感じてしまいます。
何度かに1度はガソリンを入れて返したりしていましたが、やっぱりどうしても申し訳なさがあります。
また、ちょっとした隙間時間に薪を運びたいと思っても、まずは電話をして軽トラを借りられるか聞いて・・・という手順を考えると「また今度でいいか」と思ってしまうことも度々でした。
冬本番を目の前にした9月。
一気に「廃材が出たよ」「いい木材があるよ」とたくさんのお声がかかりました。
この時にいよいよ「軽トラを購入しよう」と決断しました。
初めての軽トラは走行距離10万キロ、車検1年半残って12万円
とりあえず1年半(次の車検まで)持てばいい、という考えのもと選んだのが激安のこの軽トラでした。
いくつかの中古車屋さんを巡ったけれど、20万円を切る軽トラとはなかなか出会えなかった中、近所の板金屋さんで12万円で車検付きを見つけた時に即決。
今すぐ軽トラが欲しい状況だったのも後押しとなり、購入に至りました。
軽トラを購入し、薪集めは精神的にも時間の使い方としても楽になりました。
さらに、ゴミ出しやDIYに使う際の大きな買い出しなどもスムーズになり、今ではなくてはならない存在です。
田舎とはいえ、軽トラを気軽に借りられる、薪運びがそんなに頻回ではない、という方にとっては不要なのかもしれません。
田舎に引っ越したら絶対に軽トラが必要なワケではないので、最初の1年くらいは本当に必要かどうかを見定める期間にしてもいいかもしれませんね。
大量のタダ薪!さて、どこに置く?
一冬分の薪の量をご存知ですか?
1日12時間以上燃やして、11月中旬から3月中旬まで使用した場合、その量は7トン。
縦に積み上げるとしてもある程度の置き場面積が必要になります。
通常は薪棚を作ったり、薪小屋を用意したりなどが必要になりますが、我が家では薪棚を手作りしました。
薪棚はもらってきた廃材で作った
薪棚はもらってきた廃材をうまく活用して夫が手作りしました。
薪になる廃材は、その長さもバラバラ。
セルフカットを前提にものすごく長いものを頂くことがあります。
このような木材を活用して作ったものです。
間伐材など、切ったばかりのものは最低でも1年は乾燥させなくてはいけません。
そのため薪棚は必須になってきます。
小屋の壁を背にした薪棚↓
数分で簡易的に作った薪棚↓
薪ストーブ運用を全て正規品で用意しようと思ったらそのコストは計り知れません。
上手に節約しながら、薪ストーブを楽しむことも大事だと言えそうです。
タダ薪をもらって運用するには小道具も必要です
上記したように廃材から間伐材まで何でももらってきて薪にしていますが、購入した薪と違い、長さも太さもバラバラ。
そんな私達が薪作りに必要となった小道具をまとめてご紹介します。
チェーンソー
電動とエンジン式がありますが、馬力や外出先での使用を考えるとエンジン式がおすすめ。
軽トラに乗せる際に長すぎる木を切ったり、薪の長さを調整する際に必要。
もはや薪作りには必須アイテムと言えます。
電動目立て機
チェーンソーの歯を研ぐもの。
手動もありますが、電動の方が早いし、手軽だと思います。
チェンソーデプス調整器
チェーンソーの歯と木までのわずかな距離を調整するもの。
チェーンソーを扱う上では目立て機と同様必須アイテム。
チェーンソーメンテナンス品
チェーンブレーカー↓
リベットスピナーとセットになっています。
ソーチェーン(7m) ↓
チェーンソーのチェーンは普通はサイズを合わせて購入しますが、我が家では長いチェーンを購入。
これを自分でカットし、輪状にするために必要なのが「チェーンブレーカー」と「リベットスピナー」です。
廃材をカットする場合、うっかり釘にあたってしまうことも。
このようなことを繰り返すと1シーズンでチェーンソーの歯を傷めてしまったため、長期目線でコスパのいいソーチェーンを扱うことにしました。
混合油
チェーンソーの燃料。
混合油という形でも購入可能ですが、自作の混合油を作るとコスパがいいです。
新品のチェーンソーを購入した際に、最初から自分で作った混合油だと初期不良が起きた際に混合油が原因なのか、チェーンソー自体に問題があるか分からないため、一番最初は市販の混合油の使用をおすすめします。
それで大丈夫ならコスパのいい自作の混合油に切り替えます。
【自作混合油に必要なもの】
・ガソリン携行缶↓
ガソリンスタンドでガソリンを買ってくる際に必要なものです。
・エンジンオイル↓
ガソリンと混ぜて混合油を作るもの。
ホームセンターでも購入できますが、Amazonで買うと安かったです。
・混合油を作るタンク↓
ここで混合油を混ぜて作ります。
ちなみに混合油は機種によって混ぜる割合が違いますので、チェーンソーの取説をよく読んでから自作してください。
チェーンオイル
チェーンの潤滑油として使います。
薪割り機or斧
こちらは手動薪割り機。
太い薪を適度な大きさに割るもの。
我が家では斧をトライしたものの、腰を痛めそうだったので、手動薪割り機にしました。
耐熱グローブ
牛革のものを愛用中。
燃え盛る薪ストーブの中に薪を入れる時に必須。
火バサミ
燃えている木の位置を調整する際に使います。
磁石
廃材の釘を回収する際に必要。
レバーを引くとバラバラと釘が落ちる優れものです。
薪含水計
薪の中の水分量を知る上で必要。
薪ストーブ初心者さんなら、感覚を養うために持ってた方がいいグッズ。
ここまで見て頂いてお気づきかもしれませんが、薪ストーブは「設置してOK」ではありません。薪を得るために、ものすごい手がかかるし、物入りです。
正直、「釣りが趣味です」と「車が趣味です」の間くらいの時間とお金がかかるものと思った方がいいかも。
我が家は夫がとにかく薪ストーブに熱い思いがあったようで、このしちめんどくさい手順をこなして1人で薪ストーブを運用しています。
薪ストーブの扱い方は十人十色
燃焼時間やくべる木、メンテナンスなどにより薪ストーブの耐用年数は変わってくると言われます。
我が家の薪ストーブはダッチウエストのエンライト。
大切に扱えば、30年は持つと言われています。
決して安いものではないし、使えば使うほど味が出てくるのも確かです。
だからこそ長く愛用したいとは思いますが、かといって日々の運用に「ブナしか、コナラしか使わない」というこだわりを持ちだすと、コストも含めちょっと息苦しさを感じてしまいます。
自分たちのやり方で薪ストーブの運用を楽しむ―。これも薪ストーブの醍醐味かもしれませんね。
しつこいですが、あくまで好きな人なら。忙しい人にはホンット無理です。