田舎に住めば固定費の支出が減るというのは、誰もが当然に感じていることと思います。
広い敷地で、庭や畑がついた空き家がタダ同然(大体補修が必要です)、というのも珍しくないです。
固定費の中で住居費というのは大きな支出の一つ。
この部分がかなり安くなるということで、田舎への移住がより魅力的に感じる方も多いと思います。
しかし、実はそんな固定費の中でも一つだけ金額が高くなる可能性の高いものがあります。
それが「国民健康保険料=国保」です。
この国民健康保険料は、主に会社勤めではなく、自営業をしている方とその家族が加入する保険です。
国保を発行しているのは各市町村の自治体です。
そして、その金額の計算方法はそれぞれの自治体によりバラバラ。
結果、国保については自治体によって金額にかなりの差があります。
もし、あなたが田舎に移り住み、そこで自営業をしようと考えているのであれば、現在と移住後とでどれほど金額に差が出るか、一度きちんと確認した方がよいと思います。
同じ条件でも自治体が違うだけで保険料は最大2.5倍!
ここではモデルケースとして、30代で独身の方でシミュレーションしました。
例えば、埼玉県の小鹿野町であれば、上記の場合、年間の国民健康保険料は「161,570円」です。
月額なら13,464円です。
しかし、北海道の小樽市の場合は年間の国民健康保険料は「404,200円」です。
月額は33,350円。
年間で242,630円、月額19,884円の差があります。
これだけ自治体によって差があるものは健康保険料の他にありません。
住民税や市民税にも多少の差はあるものの、せいぜい数百円から数千円の差です。
上記は比較的高い地域と安い地域を比較しましたが、全国には北海道の小樽市に負けず劣らずの高い健康保険料が必要となる自治体は少なくありません。
住んでから後悔では遅いです。
希望の場所が見つかった時点、自営業を決めた時点で必ず一度は調べてみることをオススメします。
簡単にシミレーションできるサイトがありますので、こういったサイトを参考にしてみてください。
>>>国民健康保険計算機
目の前の好条件だけで飛びつかないことが大切
広い家を安く購入できる、移住しただけで数十万円もらえる、保育料無料など、今現在各自治体は存続をかけてたくさんの移住支援政策を打ち出しています。
たしかにそのどれもが魅力的に見えます。
ですが、そこに思わぬ落とし穴が存在するかもしれません。
例えば、毎日の食事に欠かせないスーパーでの食品の値段はどうでしょう。
バスや電車を利用する場合はその運賃はどうでしょうか。
冬の寒さ、夏の暑さが厳しい地域では、その暖房代やクーラーなどが今以上にかかる場合もあります。
車移動が必須の地域では、その維持費にガソリン代。
田舎の光熱費は都会に比べたら1.5~2倍以上になることも少なくありません。
自治会費が特に高い場所もあります。
初期費が安くても、ランニングコストを考えると今よりも高くなるという場合も少なくないと思います。
移住を検討する場合、必ず一度はその場所に出向き、上記した部分を自分の目で確かめることが大切です。
移住でジリ貧・・・という事態を避けるためにも、目先の情報にだけとらわれず、5年10年20年と住んだ際に今いる場所に住み続けた場合とでは、どれくらい収支に差が出るかを前もって計算してみることをおすすめします。
幸せな田舎暮らしにもお金は必要です
田舎で自給自足を目指す方は少なくありません。
確かに、安い空き家に住み、畑で野菜を育てたり、鶏を育てたりしながら日々の食べ物を自分で生み出す生活にはお金がかからないような気がします。
しかし、その環境を整えるまでにもある程度まとまった資金は必要です。
例え収入が今よりかなり減ったとしても、家賃(または固定資産税等)、住民税、年金、健康保険料などは必要になります。
(場合によっては減額、免除が適用になる場合もあります)
どこに行っても必ずお金というものは使う場面が出てきます。
そして、家族が増えた時や思わぬ病気・事故といった場合も起きないとは限りません。
万が一に備えるためにも、健康保険料だけではなく、生活にかかるあらゆるコストを洗い出すことはとても大切なことです。
安心して田舎に移住するためにも、お金の話は適当にせず、きちんと向き合ってみることをおすすめします。